[P-02] L-アスパラギナーゼアレルギーに対するシクロホスファミド併用の影響と抗 IgE 抗体の効果

Author:〇原(野上)愛1、堀優太1、須々木健太郎1、光畑知恵1、梶山光司1、嶋田明2、見尾光庸1
Affiliation:1就実大学・薬学部・薬効解析学分野、2岡山大学病院・小児血液腫瘍科
Abstract:【目的】小児急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬であるL-アスパラギナーゼ(L-ASP)は大腸菌由来製剤であり,高頻度にアレルギーを発症する.我々が作製したL-ASPアレルギーのモデル動物において,シクロホスファミド(CY)の併用は,150mg/kgではL-ASPアレルギーを増悪するが,300mg/kgでは影響しないこと,増悪したアレルギー反応は抗IgE抗体で抑制可能であることを報告してきた.本研究では,IgEやIgGに対するシクロホスファミドの影響や,L-ASPの抗腫瘍作用に対する抗IgE抗体の影響を検討した.
【方法】RBL-2H3細胞を,CYを併用してL-ASP感作を行ったマウス血清で感作し,L-ASPを添加した際の脱顆粒反応を,�-ヘキソサミニダーゼ遊離率を指標に評価した.IgGを選択的に吸着するプロテインGセファロースで血清を処理して同様の検討を行うことで,IgGの影響について評価した.細胞をマウス血清で感作する前に,抗IgE抗体を添加することで,抗IgE抗体の有効性を評価した.マウス血清中の総IgE量をELISAで測定した.ヒトT細胞由来急性リンパ性白血病細胞(MOLT-4)へのL-ASPの抗腫瘍作用に対する抗IgE抗体の影響について、MTTアッセイにより評価した.
【結果・考察】L-ASPを投与したマウス血清で感作したRBL-2H3細胞は,L-ASP添加で脱顆粒し,CY150mg/kgを併用したマウス血清ではより強い脱顆粒が認められた.CY300mg/kgを併用したマウス血清では,CY150mg/kgよりも脱顆粒は有意に低かったが,血清をプロテインG処理すると,脱顆粒は増強された.血清中総IgE量は,CYの併用でいずれの用量においても増加した。これらより,CYはIgE産生を増強するが,高用量ではIgG産生も誘導する可能性が示唆された.一方、抗IgE抗体を採血前日に投与したCY150mg/kg併用のマウス血清では,総IgE量が無感作マウス以下にまで低下しており、RBL-2H3細胞で脱顆粒を生じなかった.L-ASPを投与したマウス血清と抗IgE抗体存在下に,L-ASPを作用させた場合のMOLT-4細胞の生存率は,抗IgE抗体を添加していない場合と差がなかった.以上より,抗IgE抗体はL-ASPの治療効果に影響を及ぼさないことが示唆された.

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