本学医学部の薬理学実習は、免疫学、微生物・感染症学、薬理学および病理学の4ユニットより構成される「病態の科学実習」の一部として2年次の9〜10月に実施されている。病態の科学実習の主たる学修目標は、「科学的問題の発見・解決」のために必要な論理的思考と研究技法を学び、医学研究を実践するための基盤を身につけることとしている。臨床薬理学実習では、被験者になる事の意味を学生自身が被験者となり体験し、基礎薬理学実習では、すべてPCのシミュレーションソフトを用いて実施し学生個々人が独立して課題に取り組む。実習は午後半日(60分3コマ)を7回実施する。(1)実習の全体説明・実習前試験、(2)臨床薬理学実習:倫理委員会の指針に沿った二重盲検比較試験と臨床研究の実際(臨床試験の説明・同意・実施およびデータ解析)を学修、(3)薬物血中濃度モニタリングシミュレーション:科学的根拠に基づいた薬物投与量の調整法を修得、(4)心拍数と血圧に対する薬物の作用:薬物による患者の血圧調節の方法および作用機序を修得、(5)心室筋細胞の数理モデルを用いた活動電位シミュレーション:心臓電気薬理学を修得、(6)腸管平滑筋に対する薬物の作用:腸管運動異常に対する薬物治療戦略を修得、(7)総合討論・発表会・実習後試験である。評価項目は、知識、技能、態度である。知識は実習前と実習後試験で、技能は各実習レポートで、態度は実習への取り組みを加点方式で評価する。シンポジウムでは各実習の具体的な内容および準備・実施する上で実際に経験した種々の課題と解決策を紹介する。

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