ご挨拶

年会長挨拶

金井 好克
第92回日本薬理学会年会
年会長 金井 好克
(大阪大学大学院医学系研究科 生体システム薬理学 教授)

第92回日本薬理学会年会を、平成31年3月14日(木)〜 16日(土)の3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において開催する運びとなりました。本会の開催にあたり、一言ご挨拶とお願いを申し上げます。

薬理学は、化合物と標的との相互作用に基づき生命現象にアプローチするという独自の視点のもとに、薬物や生理活性物質の生体への作用を総合的に理解する生命科学の分野として発展してきました。薬物作用の解明や創薬の推進により薬物治療の重要な基盤を築いてきたとともに、その成果と独自の方法論は、医学・薬学の枠を超え、生命科学全体に大きな影響を与え続けてきた長い歴史があります。さらに近年は、最先端技術を取り込んだ革新的な成果がパラダイムシフトを生み、多くの新たな薬理学研究が立ち上がってきています。また応用面でもトランスレーショナルリサーチや先進医療における位置付けがさらに強められ、「創薬」が国策として注目されるようになったことにも後押しされて、さらなる医療の充実と発展のために薬理学の重要性は日増しに高まっています。

日本薬理学会年会は、こういった薬理学の展開を推進すべく、昭和2年より開催され、今回で92回目となります。第92回年会は、2018年7月の京都での国際薬理学・臨床薬理学会議WCP2018の成果を引き継ぎ、国際的、学際的、産学官の協奏のなかで未来の薬理学を創生していく新たな出発点となる重要な位置付けの年会となります。本年会のこのような使命を全うすべく、年会テーマを「創造と協奏 〜薬理学の新たな地平を拓く〜 — Concerto on science and innovation toward new horizon of pharmacology —」としました。WCP2018を契機に、日本の薬理学が、その歴史のなかで培ってきた独自性を再認識し、それをさらに国際社会の中で生命科学の諸分野との連携のもとに発展させつつ、産学官の共同体制によりさらなる医療の充実と発展に寄与していくために、新たな薬理学の展開に向けた方向性を「創造」と「協奏」のキーワードのもとに本年会のなかで探っていけたらと考えております。

特別講演では、生命科学分野、創薬科学分野の第一線で活躍されている先生方を演者に迎え、さらに年会企画セッションでは、新分野創生、他の生命科学分野や医療・創薬科学分野との連携、国際連携、産学官連携、ダイバーシティ推進、薬理学教育、薬理学人材育成などの視点を重視していきたいと思っております。また、中断していました日韓薬理学セミナーを年会セッションとして再開の予定です。次世代の薬理学を担う学生・若手研究者にとっても、サイエンスを楽しみ、薬理学に自身の将来の活躍の場を見いだせるような年会を目指したいと思います。

年会は、日本薬理学会の中心行事であり、薬理学研究者、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療従事者、企業研究者、薬事・行政関連機関の方々、さらに学生・大学院生が一堂に会し、学術的な討論を行うとともに親睦を深め、研究の輪とひとの輪を広げていただく重要な機会となります。広く皆様のご提案を取り入れ、本年会を有意義な意見交換の場にすべく最大限の努力を尽くす所存です。

WCP2018と同年度の開催となり、皆様にはご負担をお願いすることになり誠に恐縮ですが、WCP2018を補完し、WCP2018の成果を日本の薬理学の今後の発展に繋げる年会としたく思っておりますので、是非多くの皆様の積極的なご参加とお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。